糖尿病にはなぜ食事療法が必要なのか?
糖尿病は、食事と密接な関係にあるインスリンの、不足や欠乏から起こる病気です。
ですので、インスリンが不足すると、食べ物を通して摂取したブドウ糖などの栄養素が利用されなくなり、体の各細胞が栄養不良になります。一方、利用されないブドウ糖はどんどん増え続け、血液中にあふれてきます。その状態が高血糖で、これを放置すると、合併症が起きてきます。
これを防ぐには、摂取する食べ物の量を調整し、各種の栄養素も不足しないよう、食事のとり方を変えねばなりません。
糖尿病の食事療法は特殊な食事ではなく健康で長生きするためのバランスの良い健康食ともいわれています。特別に食べてはいけないものはなく、食べすぎを避け、規則正しく、バランスよく食べることが重要です。
主治医から指示される1日の摂取エネルギー量、そして炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素の必要量をバランスよくとり、ビタミンやミネラルなども、欠かさずにとることが、治療となります。
また、この食事療法は、糖尿病でない人が、様々な生活習慣病を予防し健康に長生きするための健康食として利用しても効果的です。
まず、これまでの食事の偏りを改め、健康的な食事に変えることが目的ですので、これまでの食生活がどうであったのか一度振り返ってみましょう。
栄養のバランスとは?
適切なエネルギーの中で、栄養のバランスをとるためには、一食のなかに、主食、主菜(たんぱく質食品)、副菜(野菜)をそろえる献立にして、たんぱく質・脂質・糖質・食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素を上手に摂りましょう。
カロリーコントロールを容易にし、また、栄養分のバランスを保ちながら食事内容が多彩になるように考案されたものが、糖尿病の食品交換表(日本糖尿病学会〔編〕:糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版)です。食品交換表を使用しながら食事療法を進めていくとよいでしょう。使用方法については、管理栄養士にご相談ください。
当院での栄養相談は?
当院での栄養相談は管理栄養士が、主治医から指示される摂取エネルギー量を守れるよう、食品や料理のエネルギーの目安などを指導しています。個別にこれまでの食生活がどうであったのか評価し、患者さんの意向を踏まえながら今後の食生活をどうしていくのか、どうしたら食事療法がうまくできるのか相談して療養の支援をしていきます。