今年最後の12月ブログを担当します薬剤科の安藤です.
2025年も江戸川くすのき会と『さ~くる』をよろしくお願い致します.
今回は低血糖時の対処法で知っておいてほしいことです。
低血糖時の対処法で大切なのは『適切に糖分を摂取すること』です。糖分を摂取するために飴玉や砂糖を使用する患者さんが時々いらっしゃいますが、服用しているお薬によっては効果が遅れる場合があります。自分のお薬を確認してみてください。α-グルコシダーゼ阻害薬(セイブル、グルベス、グルコバイ、ベイスン、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)を服用している場合は必ずブドウ糖を使用しましょう。
糖は多糖類→二糖類→単糖類と分解され、単糖類になった時点で体内に吸収され血糖値が上昇します。この糖の分解には酵素が関わっています。その中にα-グルコシダーゼという酵素があり、この酵素は二糖類を単糖類に分解します。
このα-グルコシダーゼの働きを弱めて、二糖類から単糖類に分解するのを遅くすることで糖の吸収を遅らせて血糖値を下げる薬をα-グルコシダーゼ阻害薬といいます。
飴玉や砂糖などは二糖類になりますので、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用されている方は飴玉や砂糖を摂取しても糖の吸収が遅いので血糖値が上がるのが遅くなり、低血糖からの回復が遅れます。
このことから、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している患者さんは低血糖の時、必ず単糖類であるブドウ糖を摂取する必要があります。
単糖類であるブドウ糖であれば分解は必要なく、摂取してそのまま体内に吸収されるため血糖値がすぐ上がり低血糖から素早く回復します。
また、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用していない患者さんも低血糖の時は
ブドウ糖を摂取することをお勧めします。ブドウ糖が一番素早く低血糖から回復してくれます。
α-グルコシダーゼ阻害薬を服用していない患者さんは、飴玉でも低血糖の対処は可能です。
しかし、飴玉を低血糖の時に摂取するのはお勧めできません。
携帯するのに確かに便利ですが、以下の理由からあまり適しません。
①飴玉が溶けるまでに時間がかかり、吸収が遅くなります。
②飴玉を誤嚥してしまい、肺炎になってしまう可能性があります。
飴玉の使用は控えましょう。
最後に・・・
α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している、していない関係なく、
血糖を下げるお薬(注射も含む)を使用している患者さんは、低血糖の時はブドウ糖を摂取しましょう!!
すぐ溶けるタイプのブドウ糖がドラッグストアや当院売店等で販売されていますので、
低血糖の時のために備えておきましょう。甘い清涼飲料水にもブドウ糖が含まれていますので成分を確認しておくといいでしょう。
例えば、オレンジジュース、コーラなどの炭酸飲料、スポーツドリンクなどに多くブドウ糖が含まれています。
ただし、人工甘味料では血糖は上がりませんので注意しましょう。甘い飲み物でも実は人工甘味料を使用している場合がありますので確認しておきましょう。
江戸川病院 薬剤科