毎日真夏日、猛暑日が続いています。
先月は脱水症・熱中症のお話でしたが、暑さ対策、水分補給はしていますか?
脱水が起こるとお薬にも影響があります。
体の中で効果を発揮したお薬が体の外に排出されるとき、尿と一緒に出ていきます(すべてのお薬ではありません)。尿を作るのは腎臓。腎臓は老廃物(体内の不要な物)を尿として体の外に排出する臓器です。
脱水が起こると尿の量が減るため、体の外にお薬を出しづらくなります。その結果、お薬の効果が強く出てしまったり、副作用が起こってしまったりと普段であれば起こらないことが起こる可能性も高くなります。
◆ 脱水に注意が必要な薬
SGLT2阻害薬
メトホルミン(メトグルコ)
利尿薬
活性型ビタミンD3製剤
◆ 脱水による腎機能(腎臓の働きの程度)の悪化に注意が必要な薬
(特に複数服用しているとき)
降圧薬(RA系阻害薬(ACE阻害薬、ARBと呼ばれるものなど))
利尿薬
解熱鎮痛薬(NSAIDsと呼ばれるもの)
骨粗鬆症治療薬(活性型ビタミンD3製剤)
これらのお薬を服用しているときは、脱水を起こしやすいため特に気を付けて水分を摂る必要があります。
また、血糖値、HbA1cやグリコAlbが高い時も利尿が進むため、脱水に注意が必要です。
対策と注意事項
- 脱水の症状が出る前にこまめに水分を摂りましょう。
- 発熱、嘔吐、下痢等の症状がある時は塩分などの電解質も摂り、早めに医療機関を受診しましょう。大量の汗をかいた時も水分・電解質を摂りましょう。
- 一般的に1日の水分摂取量は1.5~2Lといわれています。脱水の症状が出る場合は増やし、むくみや息苦しさが出る場合は減らしましょう。また、服用している薬や腎機能によってはそれ以上・それ以下にする必要もあるため、わからない方は医師と相談して下さい。
- SGLT2阻害薬を服用している方は、尿路感染症にも注意が必要です。お薬の効果で尿の中に糖が出るため、雑菌の栄養となり増殖しやすくなります。さらに尿量が少ないと膀胱など尿の通り道に雑菌が付いた際、尿と一緒に体外に排出することができないためより増殖しやすい環境となります。トイレが近いのも大変だとは思いますが、これを防ぐためにもしっかりと水分を摂りましょう。
ご自身のお薬が脱水に注意が必要なお薬か気になる方、わからない方はお気軽にお問い合わせください。
上手に水分を摂って暑い日々を乗り切っていきましょう。
文責:薬剤科 荒木理瑛(日本糖尿病療養指導士・日本腎臓病療養指導士)