まだまだ寒さが続きますね。体調は崩せれていないですか?
乾燥した日も続いております。風邪には十分注意してくださいね。
今月のブログを担当する検査科 三浦です。
みなさんはもちろんHbA1cの数値はご存じですよね?
HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映しており、
血糖コントロールの指標として使われている数値です。
HbA1cが安定していると、糖尿病の管理ができていると考えられがちですが、
実は同じHbA1cでも血糖値の変動パターンによって
合併症のリスクが異なることがわかっています。
今回は、血糖の乱高下が合併症リスクに与える影響と、
質の良い血糖コントロールをするためのポイントについて解説します。
血糖の乱高下が合併症リスクを高める理由
HbA1cが同じでも、血糖値の変動パターンには次のような違いがあります。
パターン | 食後の血糖値 | 空腹時の血糖値 | 合併症リスク |
Aさん(血糖変動が大きい) | 食後に急上昇 (血糖スパイク) |
その後急降下 | 高い |
Bさん(血糖変動が少ない) | 食後も緩やかに上昇 | 安定 | 低い |
Aさんのように血糖値の乱高下が激しい場合、
以下のメカニズムで糖尿病合併症のリスクが高まることがわかっています。
① 血管へのダメージが増える(動脈硬化の促進)
血糖値が急激に上昇すると、血管の内側(内皮細胞)に炎症が起こり、
動脈硬化が進みやすくなります。
これは心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な疾患につながる可能性があります。
② 酸化ストレスの増加
血糖スパイクが繰り返されると、体内で酸化ストレスが発生しやすくなり、
網膜症(視力低下)や腎症(腎不全)といった糖尿病合併症のリスクを高めます。
③ 神経障害のリスク増加
血糖の乱高下が続くと、末梢神経へのダメージが進み、
手足のしびれや感覚異常(糖尿病神経障害)が起こりやすくなります。
このように、HbA1cの数値だけではわからない「血糖の変動」が
合併症リスクを左右することがわかっています。
質の良い血糖コントロールを目指すポイント
血糖の乱高下を防ぎ、合併症のリスクを下げるためには、
以下の習慣を意識しましょう。
① 食後の血糖スパイクを防ぐ食事
• 食べる順番に注意(野菜 → たんぱく質 → 炭水化物)
→ 食物繊維を先にとることで糖の吸収をゆるやかにし、
血糖値の急上昇を防ぎます。
• GI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を選ぶ
→ 玄米、全粒粉パン、豆類、きのこ類などを積極的にとる。
• 食事の間隔を適度に空ける
→ 長時間の空腹を避けることで、食後の血糖値急上昇を防ぐ。
② 食後の軽い運動を習慣化
• 食後10〜15分のウォーキング
→ 血糖値の上昇を抑え、インスリンの働きを助ける。
• スクワットやストレッチも効果的
→ 筋肉を使うことで、血糖値を安定させやすくなる。
③ 睡眠とストレス管理を徹底する
• 睡眠不足を避ける(7時間以上が理想)
→ 睡眠不足はインスリン抵抗性を悪化させ、血糖変動を大きくする。
• ストレス管理も重要
→ 自律神経の乱れが血糖変動を悪化させるため、
リラックスできる時間を確保する。
まとめ
HbA1cだけでなく「血糖の変動」にも注目しよう!
同じHbA1cでも、血糖の変動が激しいほど合併症リスクが高まることがわかっています。
動脈硬化や神経障害などのリスクを減らすためにも、
血糖の乱高下を防ぐ食事・運動・生活習慣を意識することが大切です。
血糖コントロールの「質」を上げることで、より健康的な未来を手に入れましょう!
江戸川病院 検査科 三浦